ネオサイエンスフィクション

自分の言葉で「好き」と言え

オペラトルペのデビュー公演を観た感想(都合により自分語り多め)

今の私は、洗濯物を部屋干ししてるうちに、エアコンの部屋干しモードに洗濯物と部屋の中で一緒に蒸されて変な時間に寝落ちして、変な時間に起きてしまった学生である。

最近は毎日レジュメ作成レポート作成に追われ、ずっとしたかった研究だからすごく楽しい反面、見る夢も屍人から追いかけられて団地の階段を逃げ回るとか(SIRENは疲れると悪夢の題材としていつも私の中で選ばれるのでほんと罪深い、シリーズのことは好き、でも恐らくずっと私の中で恐怖の象徴だ)、どうやら追い詰められて疲れているようなので、今から1時間半の制約をかけて書きたいことを書く訓練をする。もっぱら最近の悩みはひとつのレジュメないしレポートにかかる時間が多すぎるということなので、「終わるまでやる」のではなくて、「一定時間の中である程度のクオリティのものを作り上げる」訓練である。とりあえず既に疲れてきたのでマグネループ装着してきてもいい?

…マグネループEXは効くのでおすすめです。今日変な時間に寝落ちしたのも昨日1日付け忘れていたからではないだろうか。

 

先日、アイドルのデビュー公演に立ち会いました。友人に「こんなアイドルがデビューするから見に来てね!」と言われて、ずっとずっとTwitterやらInstagramやらフォローして追いかけて、待ちに待ったデビュー公演でした。

 

 

オペラトルペ お披露目小歌劇-Debut Operetta- 『Reset 〜 僕らの青〜 』

オペラトルペ (天野いつか / 黒澤怜来 / 藤村ぽぷら / 岬イル / やぶきほのか)
2018/05/12 池袋CYBER

 

 

私は池袋駅からダッシュして開演時刻ぴったりについて、語り部のおじいさまのナレーションは息を切らしながら聞いたのであまり覚えていないので割愛。 

 

1.リセット

ずっとPVを繰り返し見て思いを馳せていた。フルで聞けるの楽しみだなあ、でもさ、『アイドル』のデビュー曲ってもっとポップでキラキラしたものなんじゃないの、と思いつつ。

 

youtu.be

 

劇場で聞いて正直モロにダメージを食らった。この1曲だけ聞いて出ていこうかと思ったけどまだドリンク交換してなかったから飲むまで出られない出たくないとかバカみたいなことを頭の上っ面で考えながら、いわゆるそれは一種の逃避行動だったんだろうけど、一番他人に触れられたくないところを鷲掴みにされたと思った。そうだ、私は「人間失格」の葉ちゃんの生きざまに心底感情移入してしまう少年少女「だった」、象が尻尾で虻をぴしゃりと殺す比喩に震え上がったのだ、ここにいた、私の恐怖を理解する人がここにいたと、その後私の一番好きな作家は太宰治になった、そんな人間だ、どこにでもいる。デビュー公演前に公開されていた1番の歌詞だけ聞いている分には、まあそんな曲もあるよね、よくあるよくある、そう思っていたのに。2番のあと、そのあとだ、『死にたい、死にたい、死にたい…消えたい…消えたい…消えたい…』という追い詰められた少女達の声にイルちゃんの可愛さの中にある冷静な目、いっそ爬虫類を思わせるあの無垢なまっすぐな目を表すような声がひらりひらりと飛ぶメロディを歌い上げる。『生きる、生かされる』なんてずるい、もうだめだ、やめてくれと思った。昔美術の授業で聞いたピカソの「青の時代」をふっと思い出した。青の衣装、青のライト、悲しさの表現っていつの時代も青なんだろうか。

 

2.心CHU↑しましょ☆

素手で触られたくない部分をぎゅっと握られてもうしんどさで潰れそうになった。帰るか?いやドリンク交換がまだ…(そもそも酒は好き)。そしたらなんか始まった、としかセンチメンタルから抜け出して冷静になった今でもそう表現するしかない。

今PC上で再生して、CD音源じゃ物足りなさを感じる程度には質量のある曲とパフォーマンスだったのだ。うおっ1公演目からひとりのメンバーにフォーカスぐっと当てる曲が出てくるなんてあるんだなぁ、と思う冷静な頭と、理解できなさ、というか、オペラトルペって勝手にお人形がくるくる踊ってるイメージだと思ってたのに、急に生身のむき出しの人間臭さ、いやある意味でのアイドルっぽさ?をぶつけられた気がしたのだ。びっくりして涙目になってた視界が開けていったのを覚えている。歌詞なんて頭に入らない、驚きが上回って。コール表出てきた時正直笑った、ごめんこの前は恥じらいが上回ってあんまりちゃんと出来なかったから、次行くときはちゃんとコールするね。

コールで笑っちゃって完全に冷静になって、やっと歌詞が頭に入ってきたとき吐くかと思った。『生きててくれるだけでいいよって……言われたかっただけなのに』、ああ、疲れた僕がよくネットの片隅に、日記代わりに書き込むこともある手帳のページに、表面上はふざけた風に書き込むどろどろの本音だ。ああ、ああああってもう声が漏れた。やっと、ラスサビまで来てやっとサビの歌詞が聞き取れた。『死にたいだけで減点対象の 人類テストなんて願い下げ』もう耐えきれなくてまた涙目になった。書いてる今も涙目。だってしんどくて、なんでみんな死にたいって思ったことなく生きてるの?なんで周りの子たちみたいにきらきらしたものを好きになれない風に生まれてきたんだろう、ちらつくのはいつだって「自死」、もっぱら高校生の時の悩みはそれだった、それを思い出した、ああそうだ、毎日は戦いだ、いつだって世の中と『一騎打ち』だった。ああ、あああ…

ほのかちゃんとぽぷらちゃんがこの曲に加わって歌うのは分かるんだけど、イルちゃんがメンバーなのは意外だった。意外だけど、今はこの3人がいいな、と思う。

 

3.ラストダンス

蓄音機で鳴らすようなノイズ交じりの音を聞いた瞬間、あっこの曲たぶん好きになる、と思ったらその後続くワルツも、ミュージカル的な、このコード進行って名前付いてます?この曲調がすごく好きで、私好みで、歌うイルちゃんといつかちゃんの、特に曲中、女の子役のいつかちゃんが軽く横にリズムを取りながら揺れるのが可愛くて、なのに、その声で歌う内容は……。特に心にきたのは、2番の…緑色の目をした怪物、だったか。ビジュアルが発表されたときからイルちゃんがセンターなのにスカート衣装じゃないのを珍しいなあと思ってたんですけど、この曲のためだったのかな?燕尾服に見えた。そんな二人が手を合わせて踊るの、ごめん根が2次オタだからこれしか表現が思い浮かばなくて申し訳ないんだけど、百合っぽさ、綺麗な顔の女の子と可愛い顔した女の子が手と手を合わせて踊ってる、幸せそう、いや幸せであってほしい。素敵。ずっとこのままで。でもね、女の子はお砂糖とスパイスと素敵なものをたくさん、なのにそこに毒を致死量混ぜずにはいられないような。何故そこで毒も思い浮かべるのか、って思うけど、でも少年少女だった私が振り返るならば、多くのアイドルが自身に映し出すあの頃の少女性(少年性)って、そういう、死と生が表裏一体で生まれる性だと思う。

 

4.リサイクル・ラブ

急に中田ヤスタカ的テクノが始まってびっくりしたけど、そんなことより、ええ、私テクノも大好きで。ここで宣伝挟ませてもらうなら解凍P-MODELはいいぞ。今回の公演の全ての曲がドツボなんですよねありがとうございます。いっそPと酒飲みたい。

中田ヤスタカ的テクノ、とは言うけど、歌う内容はP………とはかけ離れた、うん、今やっと歌詞カード見て正しい歌詞を認識したけど、うん、『淘汰されてく』のだ。『共感できなくて』『愛想笑いした』。なんで周りの子たちみたいに世の中の強者に生まれて来られなかったんだろうね?

今の状態の生活が始まってから聴力に異常はないのに(病院行ったけど別に異常ってほどの異常はなし)飛んできた声の内容を聞き分ける力がぐっと落ちてしまって正直歌詞がほとんど聞き取れなかったため、公演の時はとにかくダンスに魅入られてました。イルちゃんはある意味どこにいても混じれるその存在感のなさ、「いないちゃん」っぷりを発揮して心CHU↑然りこの曲も馴染んでた。怜来ちゃんはこういう曲、ダンスの中にいる意外性があったけど、クールビューティゆえにテクノの無機質性の冷たさがいい感じにマッチしてた感じ。今回の公演は怜来ちゃんのクールビューティをそのまま味わう瞬間が少なかったように思うから次回公演はそんな一面も見たい。

そして伏兵だったのがぽぷらちゃん。CD購入特典チェキを予定してたメンバーからぽぷらちゃんに変えさせるだけの力をここで見せられた。ダンス中に笑みがこぼれちゃうの超可愛い。ダンス好きなんだなってすごく感じる、無理してるんじゃなくて、ほんと、「零れる」の。踊ってるぽぷらちゃんほんと可愛い。

 

5.青空

この曲の前にモノローグが入るんだ。学校のチャイム、ざわめき、『先生』という存在。学校という普遍性はアイドルという分野でもそうなんだな、と思ったりした。そして始まるこの曲。マルチエンディングのゲームの真エンディングに到達したイメージをした。たぶんAメロでテンポ通りに鳴ってるリムショットがそう思わせるんだと思う。2番まで聞いてて少しだけがっかりしてた、この明るい曲調、そっか、やっぱり救われて終わるのか、そうだよな、アイドルの公演だよ、救いがなくてどうする。相変わらず聞き取れない(これはおぺるぺちゃんが悪いのではなく単純に私の聴力が悪い)歌詞の中やっと気がついた、『スクリーンが最期に捉えたのは 青空だった』、ああ、落ちちゃったのか。偉いな、その勇気があったんだ、私には…。あと「青空」が、「リセット」と繋がってストンと腑に落ちた。悲しさの表現じゃないか、青なんて、リセットを聞きながらそう思ったのは確かだ。でも、青空というものは大抵ポジティブの象徴で、でも私も青空が好きだ。『空に手を伸ばした』、ああそうだ、青に救いを求めた、青は悲しさだけじゃなくて、そうじゃないか、青空だって青かったな……

この公演の中、涙目になることはたくさんあったけど、この時は涙目になる段階を飛ばして涙がこぼれた。びっくりした。カーテンコールの中拍手しながら涙が止まらなかった。なんで泣いてるんだろうと思った。アイドルの公演を観に来たのだ。笑顔になって帰るんじゃないのか。なんで、一番触れられたくないところ鷲掴みにされて…なんで…びっくりしたのと悲しいのと、やっと、ああ、触れられたくないところを、死にたさを抱えてそのままでもいいのか、罪悪感を持ち続けなくてもいいのかと、そんな涙なのかもしれないと思った。

 

物販

ここまでで書き始めてちょうど1時間半なのだが、この後オペラトルペの公演に行く人のために書き残しておく。

売り子さんはアイドル本人ではなくスタッフさん。この接触の少なさはいいなぁと思った。昨今のアイドル事情を否定するわけではないんだけど、いつだってアイドルには板の上で輝いている高嶺の花でいてほしいと思うから。会場限定版CDとツーショットチェキ権を買ってしめて4000円也。CD特典のチェキは先述の通りぽぷらちゃんにしてもらったんだけど、ツーショットチェキは予定通り別のメンバーと撮ってもらった、メンバーは内緒。あとスタッフさんの中にハチャメチャに美人がいるなぁと思ってたらP本人だった。ひええ。チェキを撮るときステージへの段差が思ったより高くてまごついてたらその手で引き揚げてもらって恐縮しきり……そんなPを始め、スタッフさんもおぺるぺちゃんも、とっても温かくて、ああ、ダメージも受けたけど、この公演が見られてよかったなと思った。ツーショットチェキは思いっきり目をつぶった。チェキのフラッシュがあんなに眩しいなんて聞いてないよ!その後ドリンクを交換してモスコミュール飲んだ後電車乗って同じく都内の自分の研究室に帰った。今度はサイン入りチェキを買おうかなと思う。

 

 

今回の公演のテーマ「自殺」は、生き物である限り究極の存在の「死」にまつわるものであって、これを使ったあと次は何をテーマにするんだ?と心配してたんだけど、今回の公演を見て余計な心配だったと思った。次回新公演も楽しみにしています。その前に6月の公演も行くので…!今度はダメージ食らわずににおぺるぺちゃんの魅力を、そのまま受け取って味わいたい。

 

opera-troupe.com

 

受け取ったものをそのまま書き残したかったからどうも自分語りの多い感想になってしまって申し訳ない。でも、あの頃死にたがりだった人たちにも、その死にたさをアイドルの明るさ、可愛さ、ポップさで歌って踊ってくれるアイドルたちがいるから、ぜひ、一度見てほしいんだ。